マグネシウムは体内において、炭水化物・脂肪・タンパク質の代謝に欠かせない酵素ホスファターゼを始め、細胞内の多くの酵素反応に関与しており、かつ酵素の構成元素でもある。食材では、そばの実やアマランサスなどの雑穀を始め、無精白穀類や穀類の胚芽に多く含まれる。食物と共に吸収されたマグネシウムは体内に分配され、過剰なマグネシウムは尿中に排出される。
成犬の1日のマグネシウム所要量は、体重1kg当たり10-12mg(鶏モモ肉約40g、オートミール約10gに相当)とされ、妊娠後期あるいは授乳中の母犬そして成長期の犬においては、必要量が上がる。マグネシウムは骨に蓄積されていることから、不足時には骨からマグネシウムを放出することである程度の危機状態を回避することができるが、そのリザーブが少なくなると、筋肉の虚弱や運動障害、しょ行(指先からかかとまでを地面に付けて歩く)、開口障害や痙攣などの神経障害が現れる。
マグネシウムを摂りすぎると、その難溶性の性質から下痢や軟便の原因となるほか、カルシウムやリンの体内利用に影響したり、あるいは同時に多量のタンパク質とリン供給が行われることで尿結石の形成を助長することにもなるので、サプリメントなどで補給をするときは、まず軟便や下痢症状が現れない程度の量に留めることが望ましい。