銅は体に必要なミネラルの中で、鉄や亜鉛、マンガン、コバルトなどと並んで微量元素と呼ばれるミネラルの一つである。食品では、銅は牡蠣やホタテなどの貝類、エビやカニなどの甲殻類、牛や豚のレバーに多く含まれ、果物や野菜類にはあまり含まれない。
体内の酵素の構成成分であり、フリーラジカルの解毒や鉄の代謝・輸送、結合組織の生産、色素生産、細胞のエネルギー代謝などに関与し、また免疫機能にも影響があると言われている。
体に入った銅は、小腸上部粘膜から細胞内に取り込まれた後に血液まで運ばれ、主に肝臓に貯蓄される(体内の銅の3分の1は肝臓にある)。銅は長毛犬種の換毛期や授乳時の母犬、慢性の感染症にかかっているときなどには体内での需要が高まるが、蓄積されている銅が放出されることで、通常は急激な欠乏を避けられる。銅と同時に大量のカルシウムや亜鉛、鉄などを摂取したり、腸壁が傷んでいるときなどは、銅の吸収や利用効率が影響を受け、肝臓内の蓄積が不十分になる。
一方、ベドリントン・テリアやウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ドーベルマン、ジャーマン・シェパード・ドッグでは、肝臓に銅が過剰に蓄積される遺伝的な障害(銅蓄積性肝炎)が起こることが知られているほか、肝臓障害の二次障害として同じような銅蓄積障害が起こることがある。このような場合には、フード中の銅の量を減らすと同時に亜鉛の供給量を増やすことが勧められる。