1980年代から90年代に相次ぎ報告された研究により、アミノ酸やタンパク質と結合させた亜鉛や銅などのミネラル成分は、有機酸と結合させたミネラルや無機ミネラルよりも吸収がよく、体内に長期で留まる傾向にあることが分かってきた。以来、サプリメント食品やペットフード、動物飼料などへ添加されるミネラル成分は、アミノ酸やタンパク質と結合させた化合物が用いられることが増えてきた。
アメリカ飼料検査官協会(AAFCO)の定義では、金属アミノ酸複合体はタンパク質キレートよりも厳密に定義され、金属1に対しアミノ酸が1-3のモル比率で共有結合することによって得られるものであるほか、加水分解されたアミノ酸の平均分子量が150、キレート全体では分子量800を越えないものとされる。1)
コバルト(元素記号:Co)は、赤血球の生産に不可欠なビタミンB12(コバラミン)を構成する金属である。造血のためのビタミンB12の十分な供給には、ただビタミンB12を摂取するだけでなく、コバルトを摂取して腸内細菌によってビタミンB12へと合成することも欠かせないとされる。
コバルトは多くの動物性・植物性フードの原料に含まれるので急激に不足することはないが、ビタミンB12が欠乏すると赤血球の生産が滞り、赤血球数が減少して悪性貧血を引き起こす。一方でコバルトの過剰症については、まだ明確に知られていない。
1)PROTEINATED AND CHELATED MINERAL COMPLEXES
http://www.ams.usda.gov/AMSv1.0/getfile?dDocName=STELPRDC5057630