コバルトタンパク化合物またはタンパク化コバルトとは、タンパク質と結合している配位子と呼ばれる化合物が1つの金属イオン(コバルト)を中心にしてカニのハサミのように挟むこむ(あるいは包み込む)ようにして結合(キレート結合)している状態のものをいう。
1980年代から90年代に相次ぎ報告された研究により、アミノ酸やタンパク質と結合させた亜鉛や銅などのミネラル成分は、有機酸と結合させたミネラルや無機ミネラルよりも吸収がよく、体内に長期で留まる傾向にあることが分かってきた。以来、サプリメント食品やペットフード、動物飼料などへ添加されるミネラル成分は、アミノ酸やタンパク質と結合させた化合物が用いられることが増えてきた。
コバルト(元素記号:Co)は、赤血球の生産に不可欠なビタミンB12(コバラミン)を構成する金属である。造血のためのビタミンB12の十分な供給には、ただビタミンB12を摂取するだけでなく、コバルトを摂取して腸内細菌によってビタミンB12へと合成することも欠かせないとされる。
コバルトは多くの動物性・植物性フードの原料に含まれるので急激に不足することはないが、ビタミンB12が欠乏すると赤血球の生産が滞り、赤血球数が減少して悪性貧血を引き起こす。一方でコバルトの過剰症については、まだ明確に知られていない。