関節炎などの時に飲むとよいといわれるサプリメントの代表グルコサミン(英名:Glucosamine、化学式:C6H13NO5)という物質は、グルコース(別名:ブドウ糖)とアミノ酸が結合したアミノ糖の一種。グルコサミンという物質自体は、犬の関節を構成する軟骨や滑液(かつえき:関節の中の液体)、結合組織などの中に自然に存在する物質であり、フルクトース-6-リン酸という糖とグルタミンというアミノ酸から体内で作られる。工業的にはキチン質(エビやカニの甲羅に含まれる多糖類で、エビ・カニを食用加工する際に出る副産物)を塩酸を用いて化学処理することで得られる。
キチン質に塩酸を加えず、ただ加水分解しただけだとN-アセチルグルコサミンが得られる。N-アセチルグルコサミンは、グルクロン酸という物質とともに滑液の主要構成物質であるヒアルロン酸を作る。グルコサミンもN-アセチルグルコサミンもどちらも関節に関わる大事な物質であるといえるだろう。
グルコサミンに関節の軟骨を保護する作用があることは、複数の研究で報告されている。それらによるとグルコサミンの作用は、関節痛や関節の腫れなど軽度のものよりも中度・重度の症状の時により発揮される傾向にあるようで、しかし食べてすぐ効くというものではなく、いずれも何か月も長期に渡り摂り続けたり、コンドロイチンと組み合わせて作用が現れるようだ。
一方で、関節痛の軽減には作用はないという研究結果や、作用のためには一定量の摂取を必要とする研究結果もあり、いずれにしてもドッグフードに入っている程度の量はコストとの関係であまり多くないことは明らかであるので、どこまで効果に期待をしてよいのか疑問である。もしも本当にグルコサミンの作用を期待するなら、ちゃんとサプリメントとして摂取した方がよいだろう。