焼き鳥でもおなじみの鶏の軟骨は、鶏の胸の筋肉を真ん中で縦に仕切るような感じの部位である。軟骨を境に左右には胸肉が付き、胸肉の厚み分だけ軟骨の高さがある。鶏の軟骨は白く若干透明感があり、文字通り骨に比べて軟らかく、手でぐにゃりと曲げることができるほどである。食べるとコリコリとした食感がある。
鶏の軟骨の約70%は水分で、約12%のタンパク質の中にはコラーゲンが含まれる。脂肪分は0.5%以下と極めて少なく、しかし約390mg/100gと比較的多くのナトリウムが含まれ、これが軟骨に水分を保つ要素となっている。軟骨といえばそれでも一応骨なので多量のカルシウムを期待しがちだが、100gの軟骨に含まれるカルシウムは約50mg、同じく100gの軟骨に含まれるリンが約80mgなので、体に必要なカルシウム:リンの比率を満たすことができず、また犬の体に必要とされるカルシウム量(約100mg/kg体重)を軟骨だけで補給をするのは非現実的で間違った選択といえる。
しかし、軟骨に含まれるコラーゲンは、関節を始め骨、皮膚、腱、血管など体の隅々で必要とされるタンパク質であり、体の丈夫さと柔軟さを維持するサプリメントとして近年注目されている。