小麦のふすまとは、脱穀した小麦種子の表面を削って磨き精白する際に出る果皮の粉で、別名ウィートブランとも呼ばれる。精白の際には種子全体重量の約30%が削られて糠となる。
小麦の糠の約45%はセルロースやヘミセルロース、リグニンなどの非デンプン性多糖類で、デンプンは約15%、この他約15%のタンパク質と4-5%の脂質、ビタミン類(B1、B2、B6、ナイアシン、Eなど)とミネラル類(鉄、マグネシウム、亜鉛、マンガン、セレンなど)を含む。
小麦ブランは水分を吸うと体積が増える性質を持ち、水分で膨れ上がった小麦ブランは大腸壁を刺激し、腸の蠕動運動(腸管内の食物を押し進める腸壁の筋肉運動)を促す食物繊維として整腸・便秘予防に働くだけでなく、胃内でも膨れて満腹感を与える。この満腹感とエネルギー量の少なさに加え、小麦ブランに約1%含まれる水溶性食物繊維のβグルカンが持つ血中コレステロール値降下作用により、健康増進やウェイトコントロールを目的とした、ダイエット用の人気食材でもある。
小麦のふすまを配合することにより、フード中の可消化エネルギー(Digestible energy)をほかの食物繊維素材であるビートパルプよりも下げるが、排便頻度を上げることがなく、ウェイトコントロールを目的としたフードにおいてビートパルプの代用として有効である。これに精白の度合いにより同じく削られる小麦胚芽が加わったものは、胚芽由来のビタミンB群やEが豊富で、栄養価が高くなる。
同じ食物繊維素材のセルロースに比べ、ビタミン類ミネラル類を含み自然に近いが、果皮にはミネラル類の吸収を阻害するフィチン酸が含まれることから、ミネラル類の摂取は糠に頼らず、別途ミネラル類の補給を行うことが必要である。