乳酵母(学名Saccharomyces lactisまたはKluyveromyces lactis)は、酵母の中でも乳糖を乳酸に分解する酵母のことで、アスペルギルス・ニガー菌と共に、主にチーズの製造に使われる。また、乳酵母と乳酸菌、連鎖球菌などを使って牛乳を醗酵させることで、炭酸とアルコールを含んだヨーグルト状のケフィアができあがる。
生きた乳酵母を含むケフィアは整腸に働き、消化を助け、乳タンパクの消化吸収を高めるだけでなく、乳糖不耐症でも食べられる乳製品で、体に有用な効果をもたらすプロバイオティクスとして注目されている。
酵母の約50-60%は、体内利用効率の高い良質のタンパク質である。また、代謝産物のビタミンB群や抗酸化作用のあるグルタチオンを豊富に含み、合成のビタミン剤に代わって自然なビタミンB源として用いられ、多くのアミノ酸や微量元素の合成菌として犬に有用な食品素材でもある。しかし、酵母に含まれるタンパク質のうちの5-10%は核酸(ヌクレオチド)を含むもののため、ダルメシアンのような遺伝的に尿酸結晶を作りやすい犬種に乳酵母そのものを与えることはあまり勧められない。