イナゴマメの太長くて曲がった莢(さや)は茶色く熟すまでに1年かかり、莢とその中に入っている小さな豆を炒って乾燥させて粉にしたものは、犬向けにクッキーやお菓子などを作る際、カカオ(テオブロミンを含むため犬にとっては有毒)の代用としてチョコレート風味を出すために使われる。味はカカオによく似て甘く、しかしイナゴマメの実にはカフェインやテオブロミン、オキサロ酸などが含まれないことから、小さな子供向けのおやつなどにも、カカオの代わりに使われる。
イナゴマメの実は食物繊維に富み脂肪分が少なく、またビタミンAやB群、カルシウム、鉄などを含むが、カカオ同様に風味目的の香辛料であり、添加量は基本的に少ないので、栄養価という意味での期待はあまりできない。
イナゴマメの莢にはタンニンが含まれるほか、豆は水を吸って膨張する性質を持ち、止瀉(ししゃ:下痢止め)効果があるとして古くから地中海地域で民間療法として用いられてきた。この、水を吸って膨張してガム状構造を作る性質は、豆の胚乳部分に含まれ、抽出されたものはローカストビーンガムという増粘剤(食感改善のための添加物)として現在多くの食品で用いられている。
イナゴマメの莢の中にはキャロブ・モスという蛾が巣食っていることがあるため、通常は保管中に駆虫剤がかけられるか、あるいは蒸気処理をして乾燥保管される。1)
1)Cyprus Food and Drinks - Product of the Carob Tree
http://www.cyprusfoodndrinks.com/cgibin/hweb?-A=241&-V=b2b