整腸に働く善玉菌として代表的なラクトバシルス(Lactobacillus)は短い棒状をした乳酸菌の一種で、自然な状態では人や動物などの腸内常在菌である。食品への応用としてとくに乳酸菌飲料などでは生きたままのラクトバシルス菌が用いられている。ラクトバシルス菌にはエネルギー源となる糖類の違いによりアシドフィルス(L. acidophillus)やラクティス(L. lactis)、プランタルム(L. Plantarum)、カゼイ(L. casei)といった種があり、その数は約30種にも上る。
エネルギー源となる糖類が異なっても、ラクトバシルス菌からは代謝による最終産物として乳酸が作られ、またそれぞれ腸内で善玉菌として、整腸と免疫機能の促進、腸壁の保護、サルモネラ菌や酵母といった病原菌の増殖抑制、解毒などに活躍する。
個別には、カゼイは優れたタンパク質分解能力を持ち、ラクティスは抗菌作用のあるペプチドのナイシンを生成、またアシドフィルスとプランタルムは血中コレステロール値を下げる効果があることなどが知られている。