サラダやソースとして食卓に彩りを添えるトマト(学名Solanum lycopersicum)は、中南米を原産とするナス科の植物で、実はジャガイモ(学名Solanum tuberosum)とも近縁である。果実の形や大きさ、色、成熟時期などによって、現在では2500種もの様々な品種があるといわれる。
生のトマトに少量の水を加えて皮をむき、潰して搾り取られた果汁がトマトジュースである。その絞り粕(トマトポマス)には水分が45-80%含まれるほか、ほとんどが果皮由来の繊維質であり、ときには果皮についている残留農薬が果肉以上に懸念される。また生のトマトを潰してこして、煮詰めたものはピューレと呼ばれる。生トマトを潰さずに塩を加えて乾燥させたものには、トマトの持つ栄養素がそのまま凝縮されて残っている。
生のトマトの約95%は水分が占め、そのほかビタミン類(A、B1、B2、C、E、ナイアシン)、ミネラル類(とくにカリウム)に富む。トマトの赤い色はカロチノイドのリコピンに由来し、リコピンは天然の抗酸化剤としての働きがある。しかし抗がん作用については、いまだ賛否が討論されている。
緑色あるいは黄色で未熟なトマトや、熟さぬうちに収穫されて赤味を帯びるまで倉庫保存されたトマトにはα-トマティンという多糖アルカロイドが含まれる。α-トマティンは、トマトにとっては病原となるカビや害虫から身を守ってくれる植物毒素であるが、ヒトや動物がこれを食べると目まいや嘔吐などを引き起こすことがある。α-トマティンは実が熟すにつれて徐々に消滅していくので、完熟して収穫されたトマトであれば植物毒素の心配はない。