直径1-2cmの赤い実をつけるコケモモ(学名Vaccinium vitis-idaea)は、英語でカウベリー(Cowberry)と呼ばれるツツジ科スノキ属の植物。実には酸味があり、煮て肉料理の付け合わせやジャムにしたり、あるいはそのまま生地に混ぜ、焼き菓子のアクセントに利用される。名前も含有成分も似ているクランベリー類(和名ツルコケモモ:学名Vaccinium oxycoccusまたは和名オオミツルコケモモ:学名Vaccinium macrocarpon)とは、同属だが異なる植物である。
完熟の実または乾燥させた実が食用や薬草として使われ、ビタミンCのほかビタミンB群やβ-カロチン、フラボノイドなどを含む。実の酸味の元になっているのは抗酸化作用があるビタミンC(アスコルビン酸)や安息香酸、サリチル酸で、そのほかアントシアノシドを有効主成分とした収斂(れん)作用もあり、下痢で傷んだ腸内や口内・気管粘膜の保護などに、民間療法として用いられてきた。