香草として肉料理や煮込み料理の香付けなどに用いられるタイム(学名Thymus)は、シソ科の植物。一般にタイムと呼ばれる香草には200種以上があり、植物はガーデニング用や食用として、また一部の種類のタイムから採れる精油などは民間療法で薬草、ホメオパシー、医薬品などに用いられている。プランターや鉢植えなどでも手軽に育つのが特徴。
タイムの葉には、精油(カルバクロール、ゲラニオール、リナロールなど)やフラボノイド(アピゲニンなど)、防腐効果のある物質(ロスマリン酸など)、フェノールカルボン酸(コーヒー酸、クマル酸など)、多糖類などが含まれる。芳香があり少し辛味があることから、唾液や胃液胆汁の分泌を促進し食欲と消化の増進に効果があるほか、精油は慢性気管支炎や上部呼吸器官のカタル症状(粘膜の腫れ、粘液分泌による鼻水・痰など)への抗痙攣剤として用いられる。また黄色ブドウ球菌や大腸菌などに対する抗菌効果、抗酸化効果、抗寄生虫効果なども、実験室レベルでは明らかにされている。
タイムの、とくに精油を採りすぎると、腎臓や肝臓障害の原因となったり、呼吸数/心拍数が激しくなって血圧と体温を上昇させるほか、嘔吐や下痢などの中毒症状も示すので、くれぐれも量には注意。