
またビタミンB3は、腸内でトリプトファンというアミノ酸から腸内細菌により生合成されるため、トリプトファン含有量の少ないとうもろこしが主穀物とされる食餌では、トリプトファンを多く含む動物性タンパク質(肉・魚)や酵母など、あるいはビタミンB3を直接加えてバランスを補わなければ、ビタミンB3不足が引き起こされることがある。
犬の体にビタミンB3が不足すると、食欲不振や皮膚炎、口腔および消化管粘膜炎とそれによって引き起こる下痢症状など、人のペラグラに似た症状が現れる。健康な成犬におけるビタミンB3所要量の目安は体重1kg当たり1日200μg(牛レバー約1.5gまたはサンマ約2gに相当)とされ、成長期の子犬や妊娠・授乳中の母犬ではその倍量が目安とされる。なお、犬の体はビタミンB3の過剰に対しては寛容であるため、静脈注射などで直接体に高濃度のビタミンB3を注入などしない限り、通常食物として摂取される量での過剰症はない。