
過剰に摂取されたビタミンB6は、ほかの水溶性ビタミン同様に尿中に排泄されるが、腸内細菌によるビタミンB6合成は行われないとされており、不足すると食欲不振や顕著な貧血(血清中鉄濃度上昇を伴う小球性貧血、低色素性貧血)、一部神経反射の鈍りなど、進行した欠乏においては心筋の弛緩や転換症状などが現れる。ビタミンB6不足下では、体内のトリプトファンをニコチン酸へ合成する際の酵素機能が阻害され、代謝中間物質であるキサンツレン酸が多量に尿中に排泄されるので、これを測ることで診断が可能である。また、ビタミンB6不足下では緑黄色野菜に含まれるグリオキシル酸からシュウ酸が生成されやすくなり、尿路結石発症のリスクが上がる。
ビタミンB6の所要量は、成犬体重1kg当たり1日20μg(牛レバー約22g、マグロ赤身約20gに相当)、成長期の子犬や妊娠・授乳中の母犬ではその3倍量が目安とされる。