
人間の体と異なり、ビタミンCは犬の体内(肝臓や腎臓など)で生産されるため、本当の意味で言うならばビタミンCは犬にとってはビタミン(=ラテン語でvita=生命、amin=窒素化合物、つまり「命を保つのに不可欠な成分」の意)ではない。
ビタミンCは水溶性ビタミンなので、過剰に摂取した量は尿中に排泄される。手術後や創傷治癒時のコラーゲン合成のため、あるいは肝臓疾患や感染症治療時においては、ビタミンCの補給が効果的であるとされる一方で、体重1kg当たり1日800mgのビタミンCを摂取した例では白血球の免疫活動が低下したという報告があるので、補給するなら過剰は禁物である。
それでも体の成長が著しい大型犬種の子犬などでは、体内ビタミンCの需要に体内での生産が追いつかず、骨格を形成するコラーゲン合成が不足して運動障害や骨格障害などが見られることがある。これらの障害ではビタミンC投与によって治癒が可能であるが、その他の股関節形成不全症や骨軟骨症などの骨格疾患では、ビタミンCの投与による改善効果はないとされる。