犬は猫とは異なり、肝臓でリノール酸をジホモ-γ-リノレン酸とアラキドン酸に変換でき、さらに犬の食性からいって肉類と一緒に動物性油脂を摂ることが日常的であるため、リノール酸はとくに気にするまでもなく摂取される。一方で、α-リノレン酸の犬の体への必然性はいまだ充分に解明されていないが、α-リノレン酸から変換されるエイコサペンタエン酸(EPA)はアレルギー症状の一つである炎症を抑制する働きを担うことが少なからず知られ、またオメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の比が1:1.4のとき、炎症因子(プロスタグランジンE2)の生産を最も下げる効果がある。1)
必須脂肪酸が不足すると皮膚が乾燥し柔軟性を失って肥厚し、毛づやが悪くなったりフケが出やすくなったりし、切れ毛や抜け毛、痒み、多量の耳垢などが現れるほか、消化不良や創傷遅延、神経質症状、血圧の上昇、心機能障害、性ホルモンバランス障害などが現れる。
1) R. C. Wander et al.: The ratio of dietary (n-6) to (n-3) fatty acids influences immune system function, eicosanoid metabolism, lipid peroxidation and vitamin E status in aged dogs. J Nutr. 1997 Jun;127(6):1198-205.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9187636