
コリンは、体内で酢酸と結合してアセチルコリンという神経伝達物質(別名:ニューロトランスミッター)に合成され、神経の興奮を筋肉に伝える重要な物質として働くほか、交感神経・副交感神経といった自律神経と脳や脊髄などの中枢神経において、その活動の中心を担う。また、コリンがレシチンに合成されると細胞膜を保持する役割も担うほか、多くの代謝に関与している。
体内にコリンが欠乏すると、肝臓に脂が蓄積するいわゆる脂肪肝を引き起こすことや腎臓から出血を起こすことが知られている。また、コリンの合成段階で微量元素のマンガンが必要なことから、マンガンが欠乏するとコリン欠乏にもなる。
犬ではとくに、子犬の時期の著しい成長や高脂肪食、アミノ酸(メチオニンとシスティン含有量)のアンバランス、ビタミンB12不足など、一定の条件下において犬の体自身が合成するコリンの量では需要をまかないきれず、成長阻害や血液凝固時間の延長、脂肪肝などの欠乏症状が見られ、ほかの動物種においては骨格系障害も報告されている。
なお、親油性であるコリンの水に対する溶解度を上げるために、塩化化合物という形で食品や動物飼料に添加されることが多い。