トウモロコシ蛋白とは、とうもろこし(学名Zea mays)の種子に約9%含まれるタンパク質を加工により分離した、家畜飼料などによく使われる原料製品のこと。トウモロコシの種子を亜硫酸水に長時間浸して軟化・発酵させ、胚芽や繊維質の除去を行い、遠心分離にかけてデンプン(コーンスターチ)を沈殿させ、タンパク質を多く含む上澄み部分を後に脱水・乾燥されて作られる、いわばコーンスターチ製造時の副産物である。
できあがったトウモロコシタンパク製品は、タンパク質を約60%含むほか、脂質6%、糖質(デンプンなど)22%、食物繊維1%、その他(ミネラル類など)約3%などを含み、高タンパクであることから単にトウモロコシ蛋白と呼ばれる。トウモロコシのグルテンはゼイン(Zein:プロラミン系物質)とゼアニン(Zeanin:グルテニン系物質)によって構成され、ゼインはトウモロコシ蛋白の約55%を占めるため、トウモロコシ蛋白製品はコーングルテン(またはコーングルテンミール、CGM)という名でも呼ばれる。
トウモロコシのタンパク質を構成するアミノ酸にはトリプトファンが少ないことから、犬の栄養学的にみても、ほかの穀類と同様にアミノ酸構成が理想的とはいえず、肉類などに含まれるアミノ酸と併せてバランスを整える必要がある。また、トウモロコシにアレルギーがある場合は、まず避けるべき原料である。
なおトウモロコシは、アメリカを始め遺伝子組み換えを施された品種が多く出回っている農作物の一つだが、遺伝子組み換えを施したトウモロコシ原料を使って作られたコーングルテンやドッグフードは、組み換えの有無については表示対象になっていないことから、フード購入時にその見分けは出来ない。