パンなどのしっかりした生地を作るときには欠かせないグルテンは、小麦粉に水を加えてこねると出てくる粘りの元になる物質で、その粘りはタンパク質に含まれるグリアジン(Gliadin:プロラミン系物質)とグルテニン(Glutenin:グルテリン系物質)が結合することで生じる。小麦粉に水を加えて練った後、水にさらしてでんぷんを洗い流し、残ったものをグルテンとする。小麦には10%前後(品種によって異なる)のタンパク質が含まれ、グルテンはそのうちの約8割を占めるため、多くの場合小麦蛋白=グルテンという前提で使われる。
小麦グルテンはその昔、日本と中国において禅僧の精進料理に鶏肉や豚肉の代わりとして出されたが、現在では世界中の菜食主義者のタンパク質源として注目されている。しかし一方で、グルテンはアレルゲンであるため、穀物アレルギーの際にはまず避けるべき食材である。
なおこの小麦グルテンに小麦粉を混ぜて焼いたものを焼麩(やきふ)といい、小麦グルテンに餅粉を加えて整形して茹でたものは生麩(なまふ)と呼ばれる。